どーもパブロ(@culionlifehack1)です。
あなたは『サンクコスト』という言葉を知っていますか?
例えば以下の状況を想像してみてください。
あなたは1800円を払って映画のチケットを購入しました。
その映画が始まって30分、あまりにも退屈な場合、あなたはそのまま最後まで映画を見続けますか?
では、買ったばかりのチケットを失くしてしまった場合、あなたは映画鑑賞を諦めますか?
それとももう一度、1800円でチケットを買い直しますか?
実はこの質問には、『行動経済学』上の正解があると考えられています。
そのベースになるのが『サンクコスト』と言われるものです。
あなたの判断を鈍らせるサンクコストを知っておけば、少しだけ人生を豊かにできるかもしれません。
ここではサンクコストの概念や具体的な問題を紹介します。
目次
サンクコストとは
英語では『Sunk Cost』と記載され、文字通り『Sunk(沈んだ)』費用という意味を持っています。
経済学やファイナンスの分野で『沈没費用』とも呼ばれています。
ここで表現する『沈没』とは一旦沈むと2度と浮き上がってこない費用。
つまりその時点で行動をやめても取り返しの効かない費用を指します。
例えば物事を始める際の設備投資などイニシャルコスト(初期費用)はまさにサンクコストです。
また『費用』とは、金銭的な意味合いだけではなく、労力なども同じくコストとして扱われます。
つまり、お金がかかっていなくても、あなたがそこに費やした時間や努力も費用に含まれます。
これらのサンクコストは『損をしたくない』『勿体無い』という心理状況を生み出し、時にあなたの判断に誤りをもたらします。
その結果、あなたはさらに物理的、精神的な損失を拡大させてします恐れがあるのです。
このような状態は『サンクコストの呪縛』として広く知られています。
コンコルド効果の事例
サンクコストの同意語をされている『コンコルド効果』の由来となった事例を見て見ましょう。
コンコルドとはイギリス、フランス共同開発の実在した『超音速旅客機』であり、実に音速の2倍のスピードを誇る飛行機です。
これまで7時間かかった『ニューヨーク〜ロンドン』間を3.5時間で移動できました。
これだけ聞けば誰もが大成功を予想しますが、実はこのコンコルドは現在、利用されておらず完全にビジネスから撤退しています。
理由は、開発段階ですでに燃費、乗客数、航路など、多数の問題によって『商業的な成功が見込めない』状態にあったからです。
実際に、同じく『超音速旅客機』を開発していたアメリカなどは開発を途中で中止しています。
同じ条件であるイギリス、フランスが開発を続けた理由は『すでに投資した莫大な研究開発費や労力を、コンコルドの成功によって取り返さなければならない』という心理です。
これがまさに『サンクコストの呪縛であり』です。
個人の判断だけでなく、日常に潜むサンクコストは時に、国家レベルの判断すら見誤らせてしまうのです。
日常生活でのサンクコストの事例
この記事の冒頭で映画のチケットの問題をあなたに提示しました。
実際にサンクコストを意識した場合、あなたはどの様な判断をすれば、行動経済学的に価値のある結果になるのでしょうか?
ぜひ、自分の身に起こった場合を想像して答えを考えて見てください。
映画館でのサンクコスト事例
問題①映画がつまらない場合
あなたは2時間の映画のチケットを1800円で購入しました。映画が開始して、30分が経ちましたが、予想に反して映画が『あまりにもつまらない』
この場合にあなたは最後まで映画を観続けますか?
仮に映画を最後まで観た場合、あなたは1800円と2時間を失います。
逆に途中で退席した場合は、1800円と退出までの30分間は失いますが、残りの1時間30分を別のことに使えます。
「後半でこの映画が面白くなる可能性」と「退席して浮いた1時間30分」の価値を自分の天秤に掛けることが行動経済学上の正解です。
しかし、多くの人はすでに払ってしましった『1800円が勿体無い』という感情を判断基準に含めてしますのです。
問題②チケットを失くした場合
あなたは1800円で購入した映画のチケットを失してしまいました。
再度チケットを購入した場合、3600円を払って映画を観ることになります。
この時あなたは、もう一度、同じ映画のチケットを購入しますか?
行動経済学上、再度同じ映画のチケットを購入することが正解です。
一度目にチケットを購入した時、あなたはその映画に1800円以上の価値があると感じていたからチケットを購入したはずです。
このお金は前述の埋没費用にあたるので、再購入の際の判断材料には含まれません。
しかし、多くの人が映画の価値を3600円と考えてしまいます。
仮に最初が前売り券で再購入の際に値段が変わっていれば、考慮の余地がありますが、同じ値段であれば『その映画を1800円で観たい』という最初の価値観を重視することが、あなたにとって最善の選択です。
投資やギャンブルでのサンクコスト事例
問題③投資での損切りの判断
あなたはA株を100万円分持っていました。
A株の新規事業への期待で150万円まで株価が上がることを予想しています。
しかし予想に反して業績はよくなく株は50万円まで下がってしましました。
立ち上がったばかりの事業で、今後、成長に転じる可能性もありますが、あなたはこの時点で、50万円の損失で株を売却するべきでしょうか。
行動経済学上はこの時点で、株を売却するべきです。
なぜなら、あなたの根拠であった予想が外れているからです。
本来であれば、この時点の評価をベースに再度、60万円まで上がる余地があるのか、このまま下がり続けるのか評価する必要があります。
答えだけを見れば簡単な判断ですが、実際にこの様な状況に置かれると自分の過ち(判断ミス)を認めることは非常に難しいものです。
多くの人が、『また150万円まで上がる日が来る』『少なくとも100万円までは戻るはず』と判断を先送りにします。
実際ここにはサンクコスト以外の心理的効果も含まれますが、こうして投資に負けていく人が多いのです。
他にも、スマホゲームのガチャやパチンコなど、投資したお金を勿体無いと感じて『当たるまで続ける』というのは最悪の選択肢なのです。
就職や仕事の場面でのサンクコスト事例
問題④あなたなら転職しますか
あなたは難関の国家資格が必要なある職業に憧れて、学生時代から必死に勉強し受験対策の予備校に通い、25歳の5年目にしてやっと憧れの職業につくことができました。
しかし実際に3年間、働いてみるとあなたの思っていた様な世界ではなく、当初の憧れや志を失ってしまいました。
働く中で、他に興味のある仕事も見つかりました。
この時あなたは、転職をするべきでしょうか?
行動経済学上の回答は、転職をすることが正解となります。
5年間の学費や、時間、努力は人生において、とても大きなコストです。
自分の身に置き換えると簡単に判断できるものではありません。
しかし、もしあなたの人生にとって本当に価値のあることが、楽しくやりがいのある生活をすることであれば、過去の努力や時間に左右されることなく、新たな選択をするべきでしょう。
この先には5年間の努力の6倍以上にあたる30年以上の社会人生活が待っています。
仮に新たな仕事で自分の思い描いた人生を歩める可能性があるのなら、そちらを選択するべきです。
自分にとっての価値を考えることが大切
ここまでの事例も含めて、なんとなくサンクコストの考え方が分かったのではないでしょうか。
事例の補足をすると実際には『また株価が上がってきた』『仕事を続けていると、だんだん楽しさが分かってきた』など例外は存在するでしょう。
『あの時、続けておいてよかった』という経験もあるのは事実です。
ここで重要なことは続ける際には、『その行動の先には自分にとってどれだけの価値が存在するのか?』
逆にその時にやめてしまった場合には、その後の結果がどうであれ『あれだけの努力やお金を無駄にしてしまった』と後悔をしないことです。
自分の中に判断軸がないと、その先にある結果によってしか良し悪しの判断ができません。
しかしサンクコストを理解しながら、どの様な結果であれ『あの時に自分にとっては最善の判断をしたんだ』という自信が、今のあなたを後押ししたり、今後の人生を豊かにするのだと考えています。
まとめ
ここではサンクコストについて事例を交えた紹介をしました。
人生は判断の繰り返しです。
きっとここに挙げた事例以外にも、この様な経験をすることがあるはずです。
目先の感情や過去に影響されることなく、これからの自分にとって価値のある判断をすることで、自分の人生を少しでも豊かにしていきましょう!