どーもパブロ(@culionlifehack1)です。
人生や仕事において『やる気が出ない』、『自分は駄目だと思い込んでしまう』経験はないでしょうか。
あなた自身ではなくとも、管理職や組織のまとめ役になった場合、部下や仲間のモチーベーションを維持することの難しさを感じる場面は多いものです。
そんな背景には多くの場合、『学習性無力感』が存在します。
良く取り上げられるのはビジネスシーンですが、人生においても知っておくと役立つ理論です。
ここでは、そもそも学習性無力感とは何なのか?どうすれば、乗り越えることが出来るのか?について解説し『頑張りたいのに頑張れない』『自分に自信が持てない』人たちの、やる気スイッチを少しでも押すヒントになればと思います。
朝が覚めて布団から出られない やらなきゃいけない仕事に手がつかない だらだらとテレビを見てしまう 気づいたら1 …
目次
学習性無力感とは何か?
1967年にマーティン・セリグマンらが犬の動物実験基を通じて提唱した行動心理学のひとつです。
学習性無力感は長期のストレスや、回避困難な環境に置かれた場合に、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという現象のことを指します。
この様な体験は「何をやっても無駄だ」という認知を形成し、うつ病に類似した症状が現れます。
この様な状態になってしまうと、1番辛いのは本人自身。
本当は心の中で頑張りたいと葛藤しているにも関わらず、気力が湧いてこない。
周囲からは理解されず、『出来ないやつ』と『甘えている』と評価されて、さらにモチベーションが下がってしまうのです。
犬の実験
この実験は犬に電気刺激を与え、グループ毎に回避方法をコントロールして学習パターンを確認するというものです。
- 頭を動かすと電気刺激を回避できるグループ
- 他の犬が電気刺激を受けると自分も受けるグループ
- 電気刺激を受けないグループ
その結果②のグループの犬は、初めは、電気刺激を回避するために様々な行動を試すのですがいずれ、行動を諦めてしまいます。
(回避行動を探そうとしなくなる)
さらに重要なのは電気刺激が回避できる状況になってもそのグループの犬は回避行動をとらないということです。。
実験者のセリグマンはこの実験結果から、『犬は自力では電気刺激から逃れられない状況が継続し、「何をやっても無駄だ。ということを学習した。』と結論づけ、これを『学習性無力感』と名づけました。
この実験は心理学上でも非常に有名でなものです。
実際の事例
例えば、私の身近な経験をあげると、仕事の先輩であるAさんは、新しい営業先を任せられ、初めはとてもやる気に満ちていたのですが、色々トライするうちに、思い通りに仕事が進まなくなりました。
半年ほどの間はそれでもその原因は『自分の能力不足だ』として、頑張っており、周囲もその行動を評価していました。
しかし、一年たっても状況は良くなりませんでした。
その時、A先輩が言い出したのは、『あの得意先は特別だ』『自分は頑張っているのに、上手くいかないのは得意先に問題がある』と言い出しすべての原因を担当先に向け出しました。
その後は、後輩や上司がアドバイスをしても、『それは、おそらくこういう理由でダメだ。』『他では上手くいったかもしれないが、あの担当先には当てはまらない』と、ついには行動することすら辞めてしまいました。
客観的に見て確かにその担当先は他の担当先より、難易度は高かったかもしれません。
しかし私が1番驚いたのは、赴任直後あんなにもやる気に満ち溢れていた人が、たった一年で、社内の全員からから『彼はネガティブだ』とレッテルを貼まられるまでに、全く別人の様に変わってしまったことでした。
学習性無力感は伝染する
この伝染が実は組織において1番恐ろしい学習性無力感無力感の負のパワーです。
人間は賢い動物であり、自分で行動せずとも他人がコントロール不可能な状況に陥っていることを観察することによって、勝手に無力感を学習してしまうのです。
アルバート・バンデューラの研究結果はまさに人での集団的無力感を検証しています。
あるグループが解決不可能な問題に対して無力となった場合に、他のグループは解決可能な問題に対してさえも解決に失敗することが確認されています。
事例の続き①
Aさんはついに目標を達成できないまま、一年が過ぎました。
組織全体の目標は達成できたのですが、2年目以降に『伝染』が起きました。
これまで、Aさんの目標を補って、全体の目標を達成できていたにも関わらず、ついに他の人たちまでも『難しいのはAさんの担当先だけではない。』『Aさんの数字が達成できないと、組織もいかない』と言い出す人が現れました。
結果ついに2年目は組織の目標すら落としてしまったのです。
学習性無力感を抜け出すヒント
学習性無力感は、ただやる気がなくなるだけでなく、社会の中では、他者からの評価や自分との葛藤など、大きな障害を生んでしまします。
自覚症状としても『うつ症状』が伴うとされており、非常に辛いものです。
この様な、状態から向け出すために少しでもヒントになることはないでしょうか?
実施に行動心理学の側面から述べられている対象法を探ってみたいと思います。
カマス理論
カマス理論は、上述した犬の実験に類似するもの。
カマスと餌の小魚を水槽の中に入れて、間をガラスの仕切りを立てます。
カマスは餌を取ろうとガラスにぶつかるうちに、ガラスの存在を学習し、その後ガラスを取り外しても餌に近寄らなくなる。
ここまでは、学習性無力感と同じ状態です。
しかし実はこのカマス理論には続きがあり、
学習性無力感の状態にあるカマスの水槽に、新たな別のカマスを入れてやる。
勿論、新しいカマスは、ガラスの仕切りの存在を知らないので、普通に餌を取ってくる。
それを見た、元のカマス達はまた餌を取り出すことがこの研究で明らかになっています。
事例の結末
実は先ほどの事例にも続きがあります。
組織の雰囲気が悪いことを知っていた当時のマネージャーは、まさにカマス理論を使って問題を解決しました。
(そのマネージャーは学習性無力感やカマス理論のことを知っており、意図的に以下のことをしていました。)
当時のマネージャーはAさんの担当先を変えてしまったのです。
しかも後任者は、全く右も左も分からない新人。
彼には事前に担当先の情報を知らせず、営業をさせたのです。
すると半年後にはあれだけ、先輩が苦しんだ目標をあっさりやり遂げました。
おまけに組織の目標も、その後2年間ずっと達成し続けています。
新人のBさんは、順調に成功体験を積み上げ、今は更に大きなステージをチャレンジしています。
決して、私は今でもこの後輩が特別優秀だったと思っていません。
仕事ができる人は他にももっといます。
しかし、あの成果は今思えば、Bさんしか出来なかったことだと思っています。
理由は『その担当先が難しいことを知らなかったのはBさんだけ』だったからです。
Bさんは特別な何かをしていません。
ただ、目標を達成するために、半年間思いつく限りの行動をとり続けただけです。
その中には、業界では一般的に非効率だとされており、ベテランなら選択肢から外すであろう行動も沢山ありました。
これまで、Aさんが『それは意味がないと』やらずに言い訳していたことをすべてやり尽くしたのです。
また特筆すべきは、Bさんの姿や成果がAさんや他の人たちのモチベーションを向上させ、組織全体の行動変容を起こしたことです。
つまり、あなたが変わることは組織が変わることそのものなのです。
小さな成功を積み上げる
かます理論は、あなたを突き動かす様な、気づきを与える第三者がいれば可能かもしれません。
しかし、多くの場合はそんな状況にならないことも多いです。
そんな時は、自分の目標を小さくして、毎日自分の行動を褒める、受け入れることで『自己効力感』を高めることが重要です。
つまり、『自分はやればできるんだ』思える様に、些細でも良いので毎日、褒めてあげられることを積み上げて行くしかありません。
学習性無力感に陥った中で、なかなか自分を認めることは難しいでしょう。
しかし、『自分を許せない』『駄目だと思い込んでしまう』人の共通点として多いのが、完璧主義であるというとです。
学習性無力感に陥りやすい人は傾向として何もかもがうまくいき、ベストな結果でなければ満足出来ない人が多いのです。
学問など、絶対評価の世界では、自分がはやればやるほど成果が出ますが、スポーツや仕事では成果が環境や相手に依存することの方が多いです。
自分が頑張っていないのではなく、頑張っても思い描いた通りの結果にならないこともあることを認められる様になることが大切です。
完璧な人間は存在しません。
結果だけではなく、自分の成長にモチベーションを置くことを意識しましょう。
まとめ
学習性無力感とカマス理論について事例を挙げて紹介してきました。
私が言いたいのは、事例の様にすればは、すべてがうまくいくということでなく、学習性無力感は誰にでも簡単に起こり得るということです。
人生に置いて辛い経験や踏ん張りどきは必ず存在します。
しかし、それをきっかけに自分が潰れてしまっては元も子もないのです。
自分を責めるのではなく、誰もがそういう状況になりうること。
自分の『能力』や『知識、経験』を通じて成長すれば、必ず道が広がることを忘れないでください。
また目標の捉え方、達成へのプロセスは能力が可変的か固定的かというマインドセットによって決まるとされています。
子供は小学校高学年までは能力を努力と同じく可変的と捉える傾向が強いことが確認されており、そもそも学習性無力感に陥りにくい可能性が示されています。
年齢に関係なく、いつも自己成長が可能だと自分を信じることが、重要です。