映画 名探偵コナン『ゼロの執行人』のみどころや感想

どーもパブロ(@culionlifehack1)です。


名探偵コナン劇場版22作目となる、ゼロの執行人はコナン映画6年連続となる興行収入過去最高記録を更新。
86億円以上の記録はアニメ映画としては、ジブリ、ディズニー関係を除けば、『君の名は』など数えるほどしかない。


また公開期間中には、世界中にファンのいる、マーベルのアベンジャーズシリーズ最新作の初動を抑えて週間ランキング1位を獲るなどまさに日本アニメ映画史に残る快挙を成し遂げた。


ここでは子供だけではなく、往年のコナン世代の大人たちが見るべきゼロの執行人のみどろこに迫りたい
※できる限りネタバレは避けますが、あらすじに沿う形で、内容に触れる部分がありますので、鑑賞前の方はご注意ください。



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ゼロの執行人はこんな映画だ!

  1. 時代に合わせたテーマで狙いに来てる!
  2. コナンと安室透の格好良さにシビれろ!
  3. これまでに無い複雑かつ重いテーマを感じろ
  4. 異次元の身体能力と分析能力は健在!
  5. これまでのコナンとは一線を画す挑戦的試み

結論を言うと、もちろん家族でも楽しめるけど、連載開始当初の古参ファンが大人になった今改めて観て欲しい映画。

見所①時勢にあった事件のテーマ選び

ドローン
今回の映画ではドローンやIoTテロと言った近年の社会トレンドを色濃く反映した作品です。


時代が変われば、評価は変わるかもしれませんが、今この時代に生きる大人達にとって、AI(人工知能)やIT技術の進歩への興味をくすぐるテーマは、正解であったと言えるでしょう。


また国際サミット会場でのテロ事件という導入は2020年のオリンピックを控える日本にとって、何か親近感を覚えるテーマであり、コナンという観客の共通項を失くしたとしても、視聴者の心を掴むには十分な題材でした。

みどころ②劇中に隠された視聴者への問いかけ

探偵

小五郎が犯人に!?

まずキャッチーなのがコナンの中心人物である、毛利小五郎が事件の容疑者として逮捕されることです。

何も知らない視聴者としては、虚を突かれること間違いなし。
勿論、真犯人が別に存在することは誰もが予想しているのですが、ゼロの執行人は余りにも複雑な構成なので、『小五郎が犯人なのか?』という誰が見ても分かりやすい問題提起をすることで、子供向けアニメ映画としての体裁をギリギリ保つことに成功しています。

公安警察と公安検察の正義

次にこの映画の目玉である『安室透』ですが、公安警察と公安検察という非常に難しい
組織体系の中で、それぞれの正義を貫こうとする人間ドラマがあります。

これが真のテーマであり、シリアスな社会派作品が別に作れるほど、複雑怪奇です。
圧倒的に子供ファンを無視した、ストーリー進行には舌を巻きます。
法学部を卒業した大人の私でさえ、ストーリーに付いていくのがやっと。


それでもこの作品がヒットしたのは、コナンという大きな看板を掲げて、観客の心をつなぎとめた事でしょう。
さもなければ『公判前整理手続き』『状況証拠』『検察』『警察』など、専門用語が連呼される映画をどこの子供が金を払って観たいでしょうか。
私たちは子供ばなれしたこの作品から、逆説的に改めて名探偵コナンの人を惹きつける人気の凄まじさを痛感することになります。

橘境子と事務員(羽場二三一)の謎

この作品の大きな鍵を握る、弁護士 橘境子とその事務員 羽場二三一の存在です。
彼らの関係性がクライマックスに向けて、山場を作ります。


橘が、最後に言い残こすセリフは大きな社会や時代の流れの中に生きる個人の叫び。
我々大人の代弁者です。

テロの真相解明

最後にこのテロ事件の全貌が解明される訳ですが、これによって小五郎の容疑、それぞれの信じる正義、その中に巻き込まれた小さなの個人(橘境子)の叫びがすべて一本の線に繋がります。
事件は解決するものの、関わりあう登場人物の是非についてここまで余白を残した作品は過去のコナン映画の中には無かったのではないでしょうか。

見所③期待を裏切らない中ニ病演出

コナン映画といえば、皆んなが期待するのがここでしょう。
勿論、今作でもコナンと安室さんが馬鹿げたぶっ飛びアクションを見せてくれるので安心して下さい。
それも今回はラスト10分に凝縮されてます。


事件の裏で情報収集に暗躍する灰原。
阿笠博士のウルトラC難度のクイズに答える少年探偵団など映画の時だけ優しくなるジャイアンのごとく、今作も異次元のスペックアップを果たしたメインキャラクターは健在です。

みどころ④安室透ファンに向けたメッセージ

15年以上前の小学生時代に原作とアニメを見ていた私にとって、安室透は正直、馴染みのない人物です。
しかし、この作品で彼がなぜ人気かよく分かりました。

否定のしようがないほどカッコいい

もともと原作者の青山剛昌氏は、私が推察するに心の中にキムタクが住んでいます。
それぐらいキザで痛い2枚目キャラを心の中に飼っている。
だからこそ、怪盗キッドや、安室透の様なキャラを生み出せたはずです。

クライマックスの『安室さんって彼女いるの?』という安室ファンが気になっていた質問をコナンが代弁するシーンは鳥肌モノ。
あんなセリフ吐きながら、愛車RX7のアクセルを全開に踏み込むなんて、私には一生かかっても無理でしょう。

みどころ④福山雅治のエンディングテーマ



コナン映画といえば、倉木麻衣やビーズなどテーマソングもしばしば話題になります。
今回は福山雅治の『零〜ゼロ〜
これがとんでもなくいい!
過去のコナン映画でここまで作品の意図を明確に捉えた主題歌も珍しいではないでしょうか。
映画のラストシーンからエンディングロールにかけてこの曲が流れ出した時に、ドキッとしました。

真実はいつもひとつ でも
正義は そう 涙の数だけ

僕には「善」も「悪」も
「間違い」もある
僕を騙す僕もいる

誰も傷付けないまま
君を守ることなどは
出来ないとわかってる
「完全なる正しさ」など

ゼロなんだよ

福山雅治『零』より一部抜粋

ゼロの執行人の総括



結論として子供向けの映画としては賛否あることは否めない。
ノスタルジックな気分と痛快なアクションを求めてコナン映画を楽しみにしている私としても、これまでの路線からからり逸脱した方向性の作品に驚いた。
実際に現役の小中学生のファンがこれをどう受け取ったかは気になるところ。
話の流れだけであれば、この現役のファン層は確実に付いていけないでしょう。


一方、内容としてはかなり緻密に作り込まれていて、大人の視点から観れば良かったと言わざるを得ない。


内容の難しさにも関わらず、今作をここまでの興行収入に押し上げた要因は近年のコナン映画への期待と、安室透というキャラクターへの依存が大きかったのでしょう。


楽しみ方はそれぞれ。
大人のファンが裏の裏まで深読みをしてこの作品を評価するのか。
はたまた、大好きなコナンや安室さんが、大暴れするアクション映画としての評価するのか。

福山雅治のテーマソングになぞらえれば、
正に観客の数だけ答えはあり、
完全な正解などゼロなのである。



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